カーポートの構造計算1

「カーポート」住宅に比べれば小さいし意匠も構造も難しいことはない簡単、簡単、、、本当ですか?
実は簡単な様で意外と難しい、分かっているようで分かってない。

そんなカーポートについて少し考えてみました。(※最初は一般の人向けに記事を書いてみたが、説明が回りくどくなりすぎて、ほぼ理解できないと思うので、途中から建築士や建設業者さん向けの内容に修正しました。)

住宅の構造に関しては面積に応じて耐力壁をX、Y方向ともバランスよく配置、みたいな簡単な規定があるので建築士ならば普通の家を設計するにはそんなに悩むことは無いと思う。

でもお施主様から「家と一緒にカーポートも作って欲しい」と言われると必ず建築士の口から出る言葉「完成した後で作りましょう!」

詳しくは触れませんが、もちろん建ぺい率オーバーすることもあるので、建築時には作れないこともあります。でもそれ以前にカーポートってどういう作り方をしたら法規を満たした構造になるのか?

これが分かっている建築士さんはあまり居ないような気がします。
、、、いやほとんど居ないような気がします。

何故か?それは耐力壁が無い建物をどうやって設計して良いか分からないからです。
カーポートを幅広くして物置も一緒に併設して耐力壁を作るならば、それほど問題ないです。
でも柱と屋根だけのカーポートの構造設計に関してはどこを調べても見当たらないと思います。
そこで今回は耐力壁の無いカーポートの構造について考えてみました。

まずこのトップの画像のカーポート、鉄骨やアルミなどならさほど問題ないです。
何故なら柱と梁の接合でグラグラするのを支えている剛接合だからです。
でも木造ではこの造りは難しいです。柱と梁の接合がグラグラするピン接合だからです。

金物工法で柱と梁を接合すれば多少は柱と梁の接合部の回転を抑えることは出来ると思います。
ただ、世の中の梁受け金物は引張とせん断力の許容耐力の実験数値は公表しているのですが
回転剛性の実験と数値に関しては公表してません。

つまり梁受け金物が接合部の回転にどのくらい耐えられるか分からないのです。
そこで柱と梁の接合部を固定するために必要なのが、頬杖です。


自分で設計した建物で耐力壁が足らなくて、構造計算屋さんに「頬杖で補強したい」といっても、まず「出来ません」「柱が折れます」など言われると思います。

嘘ではないが本当でもない、何故か?
それは頬杖には壁倍率の数値が告示によって定められてないからです。
壁倍率が無いという事は、壁量計算に参入できないー>つまりXY方向の地震に対して必要な壁量や四分割法の壁量の仕様規定を満たせないのです。

なので皆さんカーポートを家と一緒に建ててと言われると困るのです。
ではカーポートの安全性を確認する構造計算はどうすれば良いのか?

それは、、、長くなるので続きます。

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